【源信】
「今日はもう、この辺りにしましょう。日が傾いてきましたし」

【子供たち】
「えぇー」

【女の子】
「せんせー、もうちょっと勉強したいー」

【男の子】
「おれもー」

【源信】
「それは困りましたね……」

僧侶は、眉を八の字にして苦笑した。

空を見れば日は次第に傾き、辺りを橙色に染め始めている。

おそらく、源信さんは子供たちの帰路を心配しているのだろう。

けれど知識欲に溢れる子供たちは、もう少しもう少しと優しい師にせがんでいた。

【源信】
「もう少し続けたいのは、わたくしも同じなのですが……」

――と、どこからか『ぐぅ……』という低い響が聞こえてくる。

【源信】
「……この通り、おなかが減って仕方ないのです」

お腹を押さえて苦笑する師に、子供たちは笑った。