【ライコウ】
「……正直、拙者はこういうことに疎くてな。何をどう選べば好いものやら、まったくわからんのだ」

ふう、とライコウさんは大きなため息をついた。

市場で、妹さんへの髪飾りを選ぶその姿は、微笑ましいほどに場違いで。

よほど力を入れて見回っていたのだろう。
首を左右にまわし、こりをほぐしている。

どうしたらいいかわからない、と呟く顔は、難問を
前にした少年のようだ。

本気で困ったことを示す、左右に下がった眉。

それを見ていると、この場で『そうですか』と去るわけにはいかなくなってきてしまって。

だから――。

【彩雪】
「……あの、わたしで良ければお手伝いしましょうか?」

言ったわたしも驚くほど、それは自然と紡がれた。