「……正直、拙者はこういうことに疎くてな。何をどう選べば好いものやら、まったくわからんのだ」
ふう、とライコウさんは大きなため息をついた。
市場で、妹さんへの髪飾りを選ぶその姿は、微笑ましいほどに場違いで。
よほど力を入れて見回っていたのだろう。
首を左右にまわし、こりをほぐしている。
どうしたらいいかわからない、と呟く顔は、難問を
前にした少年のようだ。
本気で困ったことを示す、左右に下がった眉。
それを見ていると、この場で『そうですか』と去るわけにはいかなくなってきてしまって。
だから――。
|