【弐号】
「お! ほら、あないな感じやな壱のおにぎりは」

そういって弐号くんは、青空に浮かぶ雲を差す。

【彩雪】
「んー、どれ? あの小さいやつ?」

【弐号】
「ちゃうちゃう、その上や、その上!」

【彩雪】
「上……ってあの『崩れたげんこつ』みたいなの?」

【弐号】
「せや。毎度毎度、崩壊寸前のやつばっかりよこしおって。全部食べなあかんわいの身にもなって欲しいわぁ」

【彩雪】
「ふふ……」


だけど、どんなに文句を言っていても、結局はぜ〜んぶ食べてあげるんだろうなぁ。

なんだかんだ言っても、仲の良い二人だから。


【弐号】
「お? なんや、急ににこにこ笑って。なんか面白い雲でもみつけたんか?」

【彩雪】
「ううん。ただ、久しぶりだなぁ……って。こうやって、のんびりごろんって寝っ転がって、笑いながらお話しするのも」

【弐号】
「……たしかにせやなぁ。こういう時に源信の茶なんぞあれば完璧やのにな。壱のと違ってあれは旨いからなぁ」

そう微笑む弐号くんの眼差しは、どこまでもやわらかい。

【彩雪】
「そうだね。 今度は源信さんも誘って、おいし〜いお茶、淹れてもらおうね」

【弐号】
「おう!」