柔らかそうな髪からのぞく横顔は、透けるように白い。すらりと伸ばした指先には、可憐な小鳥を止ませている。

優美な止まり木の上で、小鳥は懸命に毛繕いをしていた。そんな可愛らしい姿に、その人はふっと柔らかく目を細める。

どこか浮世離れした姿に、わたしはしばし見惚れてしまう。

きれいな着物も、身に付けた小物の数々も。
全てが全て、その人のためにあつらえたかのように似合っている。

【和泉】
「きっと、ガラじゃないんだよなぁ……」

男の人は、指先を軽く動かす。
それに、小鳥がちっと鳴いた。

愛らしく小首を傾げる友人に、その人は切なげな笑みを向ける。

【和泉】
「悪いね。お前達ぐらいにしか、相談できなくてさ……」

誰にも相談できない。

してはいけない。

それはきっと、とても重いもの。

呟きに隠された意図が見えて、わたしはその場から離れることにした。

他人が聞いていてはいけないもの――どことなく、そう感じたられたから。

なのに――。

【彩雪】
「あっ!」

後ずさる私の右足は見事に小枝を踏み、パキリという乾いた音を立てた。

【和泉】
「……誰だい?」