【彩雪】
「えっ……と、弐号くん?……だよ、ね?」

褥(しとね)に横たわるのは、初めて見る金色(こんじき)の髪の青年。

【弐号】
「何ねぼけとるんや……こないな男前……わい以外におらへんやろ?
 ……ファン失格やでぇ…………参号」

【彩雪】
「だ、だって! その姿――!」

【弐号】
「だから、そないになにを…………」

そういって弐号くんは、ゆっくりと自分の手を見る。

【弐号】
「ああ……こっちの姿、やったんかいな。
 ……はは、まああれや、……こっちもなかなかの男前やろぅ?」

【彩雪】
「そ……そういうことじゃなくて」

わたしはその先に、紡ぐ言葉を失う――。

――静寂をやぶったのは、聞き慣れた荒々しい足音だった。

【壱号】
「おいッ! そこにいるのか!? 弐号、参号ッ!」

【彩雪】
「あっ、……い、壱号くんッ!」

バサリと勢いよく御簾がめくられると、頬を紅潮させた壱号くんが部屋に踏み込んで――。

【壱号】
「おい後輩! なんでおまえ勝手に帰って……て」

しかしその脚は、敷居をまたいだままで固まる。

【弐号】
「すまんなー、壱。
 ……わいが参号を連れ出したんや……あんまり、怒らんといてやってやぁ」

【壱号】
「お、お前……、どうしたんだよ、その……姿」

【弐号】
「あぁ。ちぃっとな……へましてもうてなぁ。まぁ、心配することあらへん、大丈夫や」

【壱号】
「大丈夫じゃないから、そうなってるんだろッ!」

【彩雪】
「ちょ、ちょっと壱号くんてば! 落ち着いてよっ!」