【???】
「怪我はないか、参号殿」

【彩雪】
「……え?」

ぱちりと開いた瞼(まぶた)の先。

風に流れる長い髪。
わたしに影を落とす長身は――。

【彩雪】
「ライコウさん……」

【ライコウ】
「下がっていてくれ……、鬼切りは拙者と、この源氏の宝刀・膝丸に任せてくれればいい」

その大きな背中は、得体の知れないものを前にしても怖じる気配もない。

【ライコウ】
「我が名は“鬼斬り”ライコウ!」

その足は、強く地を踏みしめ、名乗り声は大気を震わせる。

【ライコウ】
「――いざ、参る!!」

高らかにあがる宣言。

握り締められた煌(きらめ)きは――鋭く闇を引き裂いた。