【晴明】
「まぁ、いい。こんな雑魚一匹にいつまでも構っているわけにもいかん」
そう言った晴明様は、どこからかスッと符を取り出した。
その紙には記号や文字がいくつも書かれている。
初めて見るその符に首をかしげているうちに、
気がつけばアヤカシの手が、わたしに迫っていた。
【彩雪】
「きゃっ!」
それに慌てて体を引く。
わたしがアヤカシから離れた瞬間、晴明様の手から符が放たれた。
その符は吸い寄せられるように、ぴったりとアヤカシに貼りつく。
ボゥッと音をたてて、激しく燃え上がった炎。
その青い炎は、着実にアヤカシの体を蝕んで行く。
【晴明】
「“蒼き天狐(あおきあまぎつね)”の異名、知らぬならばその身に刻め。それが……貴様が最後に耳にする名だ」